POT(可変抵抗)の内部構造や配線方法とTRIM(半固定抵抗)について
2017/07/11
【はじめに】
当ブログの内容における未検証項目につきまして、誤りがある点をいくつかご指摘頂いています。
誠に申し訳ないのですが、しばらく内容修正に取り掛かれないうえ、ブログを閉鎖することも今のところは考えていないので、内容に関しては「間違っている箇所もある」と思って頂けると幸いです。
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POTはエフェクターのボリュームツマミに使われている「可変抵抗」のことです。
ギターやアンプのボリュームはもちろん、トーンやゲインなど音の大きさや質を変えるところはだいたいPOTが使われています。
可変抵抗というのは、抵抗の値を変化させる事ができる抵抗のこと。
ポテンショメーター、ポットなどとも呼ばれています。
回路図では「VR」と表されます。
これはVariable Registerの略で、そのまま「可変抵抗」を意味しています。
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Contents
内部構造と使い方
POTを裏からみた時に端子が上に来るようにして1番左の端子から1,2,3と番号がふられています。
表からみた時に、ボリュームを絞るようにつまみを左に回しきったとき、
回路上では図の右側のように1番端子と2番端子がショートします。
エフェクターのマスターボリュームの部分では1をGNDに、3をOUTPUTに結線している事が多いです。
その場合2番端子はINPUT(つまり基板上のOUTPUT・RETURN)が結線されます。
こうすることで、めいっぱいボリュームを絞った時には1-2番端子間の抵抗が0になる為、
入力信号がGNDに流れやすい状態が作られます。
そのうえで2-3番端子間の抵抗値が十分に大きければOUTPUT側に信号が流れていかない為、
音量が0になるわけです。
逆に右に回すと、2番と3番の端子が近くなります。
フルテン(右に開き切った状態)の時に2番と3番の端子がショートします。
つまり2-3番端子間の抵抗が0、1-2番端子間の抵抗が十分に大きいという事から、
理論上の最大音量がOUTPUTに出力されていくことになります。
つまみが中間位置にある場合は、2番の端子が1番とも3番ともショートしていない状態なので、図の右のような回路と考えられます。
もし、100kΩのPOTで、つまみを10時の方向(目盛り4ぐらい)に合わせていた場合には1番端子側と3番端子側の抵抗がそれぞれ4:6となる為、図の右の回路の1番端子側の抵抗が40kΩ、3番端子側の抵抗が60kΩになるということです。
一般的なPOTの種類
24mmPOT
主に中堅クラス以上のギターのボリューム・トーンコントロールに用いられているサイズ。
16mmPOT
主にエフェクターや安価ギターのボリューム・トーンコントロールに用いられているサイズ。
9.5mmPOT
小型のエフェクターに重宝されるサイズ。
2連POT
1つのPOTに上下2つの端子がついたPOT。
2つの回路を1つのPOTで作動させたい時に重宝します。
(例えば、片方の回路の抵抗値を大きくするにつれてもう片方の回路の抵抗値を小さくしたいなど)
プッシュプルスイッチ付きPOT
ON/OFFスイッチが付いたPOT。
カーブ
POTは抵抗値の変化の仕方の違いによって主に4つの種類が存在します。
日本ではそれぞれをA~Dで表しています。特性は以下の通り。
Aカーブ
後半にむかって音の変化率が大きくなるカーブ。
回路図で「log」と表記されていたらAカーブです。
人が音の変化を聞く時に自然に感じられるよう作られたもの。
主にギターのボリュームコントロールなどに使われています。
Bカーブ
一定の変化率(直線的な変化)を持つカーブ。
回路図で「lin」と表記されているものはBカーブです。
Cカーブ
Aカーブの真逆のような変化率のカーブ。
初期の変化が大きく、後半の変化率が小さい。
Dカーブ
Aカーブをもっと極端にした変化率のカーブ。
抵抗値の見かた
POTの表面または裏に「100KA」とか「A100K」と書いてあります。
この場合、「100KΩのAカーブ」と読む事が出来ます。
可変抵抗へのハンダ付けの仕方
POTは3つの端子が、そのまま基盤に直付できるものと、写真のように線材を配線するものとが存在しています。
基盤に直付できるものは、他のパーツ同様にハンダ付けをすればOK。
線材を配線する場合は、皮膜を剥いた配線材の先端をまずPOTの端子の穴に通し、
その端子にグルグル巻にしてハンダ付けすると強度が増すのでオススメです。
音が出なくなったエフェクターをチェックしていくとPOTの端子のハンダ付けが甘く、線材が外れていた、なんてことがよくあります。
豆知識
POTの背面にハンダ付け
たまにギターのPOTなどで、1番の端子をPOTの背面にはんだ付けしてあるものがあります。
1番端子をPOTの背にショートさせる事でGNDとすることができるんですね。
具体的にはPOTの背面と、表面のギター本体に触れる部分が繋がっているので、ギターの本体から人体を介して地面(アース)に落ちているというわけです。
エフェクターの場合も同様で、POT背面がエフェクター本体(ケース)とショートするので、そのまま地面に落ちてGNDとなります。
POTにガリが出たら・・?
POTは使っているうちにどうしてもガリが出てしまいます。
そうなった時には接点復活剤というスプレーを使うという人もいますが、
エフェクター自作が出来るような人ならごっそり交換してしまうのが楽ですね。
やり方は簡単で、POTとつながっている配線材をハンダ吸い取り線でハンダから剥がし、
新しいPOTに繋ぎ直すだけ。
昔はハードオフとかで「ガリ有」とかで安く出ていたエフェクターやアンプを持ち帰って直すという楽しみがありましたが、最近はなかなか見かけません。
半固定抵抗
可変抵抗に似た電子パーツで、半固定抵抗というものがあります。
英語で「Trimmer Potentiometer」と呼ばれ、日本語ではトリマとか言われます。
(回路図ではTrimと表記)
ほぼほぼ可変抵抗と同じ内部構造と考えてOKです。
裏面を見て、端子が2つ平行に並んでいる方を下にした時に右から1、2、3番端子になります。
可変抵抗と違う部分は、つまみの代わりにプラスドライバーで抵抗値を調節するところ。
そして一度調節をしたらその位置で基本的には固定しておくところです。
たとえばトランジスタなどで個体差が激しいものを扱う場合、
同じ回路に同じトランジスタを入れても音が違うなんて事があったりします。
そんなとき、トランジスタの出力を左右しそうな抵抗の場所に半固定抵抗をいれておくことで、
細かく調節しながらちょうどいい抵抗値を割り出せて、そのまま使えるということです。
[参考]Fetzer Valve