スイッチ(3PDT,DPDT,SPDT,XPYT)の仕組みと使い方についてまとめ
2016/08/29
【はじめに】
当ブログの内容における未検証項目につきまして、誤りがある点をいくつかご指摘頂いています。
誠に申し訳ないのですが、しばらく内容修正に取り掛かれないうえ、ブログを閉鎖することも今のところは考えていないので、内容に関しては「間違っている箇所もある」と思って頂けると幸いです。
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エフェクター製作に使用されるスイッチ。
スイッチと一言で片づける事はできず、形状と構造によって数種類に分かれています。
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Contents
スイッチの形状と用途
トグルスイッチ
トグルスイッチが一番シンプルなスイッチかもしれません。
ミニアンプのON/OFFスイッチなんかでよく見かけます。
エフェクターでは1台のエフェクターでキャラクターの違う音を出せるようにする為のスイッチとして使われる事が多いです。
例えばHOT CAKEのMID LIFTスイッチや、FRENCH TOAST(DAN ELECTRO)のOCTAVEスイッチなど。
演奏中の切り替えには使われず、音作りの段階でつまみをセッティングした状態で使用します。
※足で操作しづらいスイッチなので、演奏中の切り替えは困難という意味。
トグルスイッチには2種類の出力系統A/Bを切り替えるON-ONタイプと、A/Bの出力と出力OFFの切り替えがついたON-OFF-ONのタイプがあります。
実際の内部構造は下記「SPDT」の項で説明します。
スライドスイッチ
トグルスイッチと同じ用途(ON/OFFまたはA/B)のスイッチです。
トグルスイッチに比べて、切り替えに若干のストレスがある為、
演奏中に足がぶつかって”意図しない音に切り替えてしまう”などのリスクを回避できるのが特徴です。
SANS AMP GT2のアンプシミュレーターキャラクター切り替えスイッチなどが例として挙げられますね。
フットスイッチ
エフェクターのON/OFF切り替え時に足で踏むスイッチです。
その為、他のスイッチに比べて頑丈です。
エフェクターの電源ON/OFFだけでなくブーストスイッチのようにエフェクトのON/OFFに使われることも。
踏むたびにON/OFFが切り替わるタイプと、踏んでいる間だけ切り替わっているタイプ(モメンタリータイプ)があります。
ON/OFFスイッチとブーストスイッチがついたエフェクターはCraneTortoiseのBS-1やShigemoriのパンツ(Stone Drive Custom)など。
スイッチの構造と用途
スイッチの構造は主に、入力系統と出力系統の組み合わせで種類がわかれています。
入力系統がP(Pole)、出力系統がT(Throw)で表されるので、
XPYTのXとYの数字を見てスイッチの構造を判断することになります。
SPST(Single Pole, Single Throw)
Single Pole、つまり入力1系統に対し、
Single Throw、出力も1系統のスイッチ。
ON/OFFスイッチとして使われます。
単純な回路で、よく回路設計の「豆電球の点灯」とかで見かけますね。
これがスイッチの基本です。
ONの場合は端子がショートして、OFFの場合は絶縁している状態。
なので、ONの場合に電流が流れ、OFFの場合には遮断されるということです。
SPDT(Single Pole, Double Throw)
SPDTは入力1系統に対し、出力が2系統のスイッチ。
主にA/Bスイッチとして使われます。
AをON、BをOFFとしたON/OFFスイッチにもなりますね。
構造のイメージ。
左から入力された信号がAまたはBの出力に切り替えられるわけです。
実際のスイッチと端子の連動イメージ。
主にトグルスイッチのON-ON型の物がこんな感じ。
真ん中の端子に入力を結線し、左側にA出力回路、右側にB出力回路を結線。
トグルを右に倒すと、真ん中と左がショート(図のイメージ)するので、出力はA側の回路になる。
その時B側の回路は絶縁している状態。
逆に倒せば真ん中と右がショートしてBの出力になる。
ON-OFF-ONのスイッチの場合、トグルを左右に倒せばON-ONのスイッチと同じ動きになります。
トグルを真ん中にセットした場合、真ん中の入力端子がAとBのどちらにもショートしない事になり、OFFとなるわけです。
※入力もAもBも全ての回路がトグルスイッチ上で絶縁している状態。
DPDT(Double Pole, Double Throw)
入力が2系統、出力がそれぞれ2系統のスイッチがDPDT。
DPDTはLED無しのトゥルーバイパスや、少し複雑なABスイッチなどに使われます。
ちょうど2つのSPDTスイッチが連動して動くイメージです。
左の図だと左側から入った2つの入力が、どちらもA側の回路に出力されます。
右の図だとB側の回路に出力。
この出力を切り替えるスイッチです。
端子の数は6つ。
基本的には真ん中の2つにそれぞれ2つの入力を結線し、
左側が2つのA出力回路、右側が2つのB出力回路に結線されることで、
真ん中と左がショートした時にはA出力、真ん中と右がショートした時にはB出力となる仕組みです。
Aに出力されている時はB側の出力回路はこのスイッチ上で絶縁されている状態。
反対にBに出力されている時はAがスイッチ上で絶縁状態というわけです。
3PDT(3 Pole, Double Throw)
ようやくブティックエフェクターで一番よく使われている3PDTスイッチです。
3系統の入力に、それぞれ2系統の出力があるもの。
3PDTは、エフェクター製作では主にLED付きトゥルーバイパス回路に使われますね。
通常サイズのブティックエフェクターならだいたいこの3PDTが使われています。
DPDTの時と同様に、SPDTスイッチが3つ連動しているイメージです。
左の図では左側から入力された2つの信号がそれぞれ3つのA出力回路に出力され、
右の図だとB出力回路に出力されています。
この2系統の出力を切り替えるスイッチです。
3PDTスイッチの端子の数は9つ。
左上から1,2,3・・・と番号をふっていった時に、
真ん中3つ(2,5,8番端子)に3つの入力系統、左右3つずつにそれぞれA/Bの出力系統を結線します。
A側の回路に出力される時は、1番と2番、4番と5番、7番と8番の端子がそれぞれショート。
その時3,6,9番は絶縁されています。
スイッチングによって2番と3番、5番と6番、8番と9番がショートされると、B側の回路に出力されることになります。※その時1,4,7番は絶縁。
XPYT
以上のように、XPYTの形でスイッチの構造が判断できるわけです。
なので、DP3T(2つの入力に3つの出力)や4PDT(4つの入力に2つの出力)などなど、用途によって構造の異なるスイッチを使用する事が可能です。
補足
3PDTフットスイッチ接合時は向きに注意
フットスイッチ接合時には、上図のような1~9の番号を意識しますが、その向きには注意が必要です。
ヘタクソな絵で申し訳ありませんが、左の図のように端子が縦長になっている状態の時、縦に三分割した真ん中3つの端子(2,5,8番端子)を中心に左右にスイッチングします。
右の図のように端子が横長の時には横に三分割した真ん中3つの端子(この場合4,5,6番端子)を中心に上下にスイッチングします。
×の向きの際に、縦に三分割してしまうと意図しない動きになってしまうので気をつけましょう。
※念のためテスターを使って通電を確認するのが一番です。
3PDTを使ったトゥルーバイパス
3PDTスイッチはLED点灯がついたトゥルーバイパスの回路が作れるスイッチです。
BOSSのスイッチのように、どうしてもエフェクトオフ時にバッファ回路を通るような物の場合、メリットもありますが「音やせ」を気にする人が多かった為、トゥルーバイパスは重宝されました。
トゥルーバイパスの作り方の基本は以下を参照。